急につまらなくなった山本直樹『レッド』
『レッド』7巻219ページ
1971年12月24日に起きた新宿クリスマスツリー爆弾事件。警視庁のサイトによれば「警察官2人と通行人10人が負傷」とある。死亡者なんか出てないのである。『レッド』はフィクションであるから、現実と少し変えている部分はある。しかし意味なく変えたりはしない。多分間違った資料を参照してしまったのだろう。どうも7巻の真ん中あたりから、急に作者にやる気がなくなったような気がしてならない。
連合赤軍を描いた作品は数多くあるが、『レッド』が最高峰だと今でも私は思う。連合赤軍事件が、四十年以上も昔の事件であるというのに、いまだに高い人気を持ち続けているのはなぜか。「世の中をよくしたい」という純粋な善意から始まったはずの運動が、かくも悲惨で愚かな結末を引き起こしたという、その過程が人々の心を引きつけるからである。真面目で純粋で正義感の強い人達が、なぜこんな事件を起こしたのか? それに対しては、真面目で純粋で正義感が強いからこそ、こんな事件を起こしたのだ、と答えるのが定説になっていた。ところが山本氏の回答はそうではない。人間とはもともと愚かなものであり、愚かな人間が愚かな事件を起こしただけのことである。真面目で純粋で正義感が強いということは、人間の愚かしさを加速させるわけでもなければ減速させるわけでもない。それらはこの事件の本質ではない。それが『レッド』の描き方である。
事件の全貌が明らかにされたわけではない。「なぜ」(WHY)が解き明かされてしまっても、「どうやって」(HOW)が残っているだろうと。しかしこれはもはや単なるありふれた猟奇殺人事件でしかない。山本氏の熱が冷めたところで、とがめることはできない。読者にとってもこれ以上読み続けても、1970年前後の「叛乱の時代」から学ぶことは何もないし、2010年代を生きる現在の我々にとって、教訓が得られるわけでもない。単に知的好奇心を満足させるだけである。ここで連載を投げ出したところで、誰も文句は言わないと思うし、『レッド』が傑作であるという事実に変わりはない。
続けるなら、脚本家の曽田博久氏と対談してほしい。それだけが心残り。
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