『ニンニンジャー』へのジライヤ出演に思う

郷ヒデキ
藤子・F・不二雄『ドラえもん』「影とりプロジェクター」。郷ヒデキ、といっても帰ってきたウルトラマンとは無関係(多分)。

 『手裏剣戦隊ニンニンジャー』10月18日放映に『世界忍者戦ジライヤ』のジライヤが出るらしい。まともに批判する気にもなれないので、今回も『ドラえもん』の話をする。
 今でこそ批判的なことばかり書いてるが、私も子供の頃は『ドラえもん』が大好きで、てんとう虫コミックスの19巻が出た時は息せき切って本屋に駆けつけたものだが、「影とりプロジェクター」を読んだ時の気持ちは今でもはっきりと思い出せる。意味が分からない。分からないなりに心に引っかかるものがあったかというと、そんなこともない。単なる意味不明の話である。そこに出てくる女性アイドル「星野スミレ」とやらが『パーマン』に出てくるキャラクターだということを知ったのは十年以上経ってからだが、それを頭に入れた上で読み返すと、それはそれでやっぱり面白くもなんともない話である。
 藤子・F・不二雄先生は何を考えてこんな話を描いたのだろう。1968年に連載終了した『パーマン』に未練があることのアピールだったのだろうか? 人気が高いうちに連載が終わったのは色々商売上の理由があったらしいが詳しくは知らない。そのアピールの甲斐があったのかなかったのか、1983年に連載再開、そしてそれ以降は『ドラえもん』に星野スミレがチョイ役として出てくることすらなくなった。気が済んだのだろう。
 つまらない話だという感想は今でも変わらないが、別に腹が立つわけではない。自分の作ったキャラクターを、自分の作品の中で、自分の責任で出したのである。仮にその話の内容がファンの思いを傷つける結果となり、「こんなのはスミレちゃんじゃない」という声が沸き起これば、責任は全部自分で負う、という覚悟でやっていることである。「パラレルですから」と言い訳さえすれば何をやっても許されると思っている(そして実際許されている)某映画会社とはそこが違う。
 星野スミレは「めだちライトで人気者」で再び『ドラえもん』に登場し、「オンボロ旅館をたて直せ」ではつづれ屋が、「なんでも空港」ではQちゃんやデンカが出てくる。これらはいずれも1980〜81年。この頃から急につまらなくなっていったような気がする。

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