特撮に出た俳優はなぜ勘違いするのか(前編)
最初に、好きなものを好きと言うのならともかく、嫌いなものをわざわざ嫌いと言うことに何の意味があるのか、という批判に対する反論。
好きなものに対しては好きと言う、嫌いなものに対しては嫌いと言わない。それが普通の生き方だとは思う。しかし世の中そんな人間ばっかりになってしまったら、「俺のやっていることは、誰からも好かれているのだ」などと勘違いする人が続出する。星新一の『妖精配給会社』の世界。だから誰かが言う必要があるのだ。
どうもこのブログも最近はネガティブなことばかり書いているような気もするし、コメント欄でもそのことを指摘されたばかりであるが、書いてる当人の心持ちは至ってポジティブである。
特撮に出たことのある俳優は、そのことを一生の宝物として誇りに思うはずである、などという思い込みは、特撮ファンの間に相当広く浸透しているように思われる。そういう人達は、一生の宝物というほどではないが大切にしている人もいる、ということが理解できない。オダギリジョーは『仮面ライダークウガ』に出たことを黒歴史にしているけしからん奴だ、という噂もそこに由来する。オダギリ氏はこの前ラジオに出て、自分は黒歴史にしたことなど一度もないと、きっぱりと否定していたが、それで噂が消えるものかどうか。
しかしなんでそんな誤解が浸透しているのだろうか。俳優がそういうことを言うからである。イベントとか、インタビューとか。本心からか、リップサービスからかは知らないが、そういうことを言ったらファンが喜ぶだろうと思って言う。しかしそんなファンばかりではない。もちろんファンとしては、特撮番組に出たことを大切な思い出として持っていて欲しいとは思う。しかし大切に思えば思うほどよい、というわけでもない。一生の宝物とまで思ったりする人は嫌だ、というファンだっている。そういうファンはわざわざそんなことを口にはしない。イベントにも行かない。無視するだけ。
そして俳優の方はますます勘違いしていくのである。(続く)
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