オタクは差別が大好きである(前編)
私がオタクを嫌いなのは理由がある。
岡田斗司夫『オタク学入門』(1976年)より。
この戦隊シリーズ、普通の人から見れば、いったいオタクたちは何が嬉しくて毎回ビデオに録ってまで見ているのか、さっぱりわからないだろうと思う。(中略)
「どうせオタク連中は、ヒロインのパンチラが嬉しいんだろう」、などといわれたりしてしまう。
が、それは下司の勘ぐりというもんだ。戦隊シリーズのヒロインはアイドル性も高くなく、パンチラもあまり見えても嬉しくない。(強調は引用者による)
岡田斗司夫氏はアニメや特撮すべてのジャンルについて詳しいわけではない。(当たり前だ。そんなことは不可能だ。)しかし「オタキング」(オタクの王)などと名乗って活動を続けていく以上、すべてに詳しいフリをしなければならない。その結果、知りもしないことについて原稿を依頼され、適当なことを書きなぐることになる。岡田氏の知識がいかに出鱈目なものかについて検証してあるサイトはいくらでもあるので、ここではやらない。やるのは、なんでこんなのがオタクの代表者などとして、一時期とはいえ通用することが可能になっていたかである。
それはオタクのコンプレックスを見事についたからだ。
実際、大人になってマンガやアニメや特撮のファンというだけで、犯罪者予備軍の扱いを受けた時代があった。好きなものを好きだというだけで世間からの白眼視に耐えねばならなかった。そこに、オタクというのは知的に進化した新しい人類であるとか、世界中で日本製のアニメが大ヒットしているとか、江戸時代から続く日本文化の正当な後継者であるとか唱える人物が現れれば、あっとういまに救世主扱いをされたのも無理もないところだ。ところがそれは、現実をもとに理論を組み立てたのではなかった。理論が先にあって、それに合致するようにオタク像をこしらえあげたのである。理論に合致しないものは切り捨てた。
その一つが特撮ヒロインのファンである。
アイドル性も高くないということを、何か根拠があって言っているわけではない。単に理解できないだけである。自分に理解できないことは切り捨てる。それは、世間がオタクに対して向けたまなざしと全く同じものを、岡田氏は戦隊ヒロインのファンに対して向けたのだ。そして目ざわりな者をすべて切り捨てたあと、残った者たちを相手にして、君たちオタクは知的エリートなのであると吹き込む。
オタクは差別されていた。そしてこれ以上差別されたくないと思った。だが、彼らは差別そのものを問題にしようとはしなかった。自分たちが差別する側に回りたいと願ったのだ。そしてそのようなオタクどもによって、岡田氏はオタキングとして崇められた。
さて、同じような「オタクの代表者」に唐沢俊一氏がいる。(続く)
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