『手裏剣戦隊ニンニンジャー』第1・2話だけ感想
現場ではたくさん怒られます。たとえばラーメン屋に行ったとする。そしたら店の奥から「麺は茹でればいいってもんじゃない」「味付けがちがう」「火力が弱い」「スープにゴミが浮いてる」などとシェフを叱る声が聞こえてきたらどうするか。
「ただセリフを言っているだけ」「立ち位置が違う」「それじゃ画面に映ってない」「口が回っていない」「挨拶がダメ」「ちゃんと聞こえない」「瞬きが多すぎ」「表情が出来ていない」「もっと人の芝居を見なさい」。これまでの一生分か、10倍、時には怒鳴られたりも。
(中略)
スタッフの深い愛情あっての現場です。日々成長なのです。
(東映公式サイト『手裏剣戦隊ニンニンジャー』第三話TOPICS)
そんな店には二度と行くまいと思うだろう。
シェフが修行中の身でラーメンがまずいのは仕方ないにしても、そういうことは客に聞かせるなと。いかにも自信満々の顔つきで、当店最高の品をお持ちしましたという態度を嘘でもいいから客の前でとれないのであれば、そんな店はたたんでしまえ。
『ニンニンジャー』の役者の演技があまりにも評判悪い(特に赤)。それに対して、今は上達を見守るべき時期だ、と擁護する意見もまた盛んである。しかし番組を見る側が言うのと作る側が言うのとでは、同じことを言ってもその持つ意味は大違いだ。武部直美プロデューサーは、こんな成長途上の未熟な演技を視聴者にお見せして申し訳ないという思いに駆られているわけでもないらしい。要するにこれは、今のスーパー戦隊にとって、素面の役者によるドラマパートは売り物ではありませんと言明したに等しい行為である。
じゃあ何が売り物なのか。スーツアクターによるアクションと、巨大ロボやメカの特撮パートである。それらに関しては確かに今年もクォリティの高さをさっそく見せつけている。ギミックに凝った変身アイテムや武器、マシン、巨大ロボ。子供たちに玩具をたくさん買わせるぞという熱意には毎年毎年圧倒されそうになる。『パワーレンジャー』として、全世界に発信されているという事実の持つ意味も大きいのだろう。世界中の子供達が自分たちの作る作品を見てくれているんだと思えば、JAEや特撮研のスタッフ一同沸き上がってくる気力も並々ならぬものがあるに違いない。
ドラマパートは全部アメリカ人が撮り直すけどね。
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