フェミニズムの二つの立場とスーパー戦隊
フェミニズムがスーパー戦隊シリーズを批判する時というのは決まっていて、女戦士を男に比べて活躍させていないというものだが、逆に、女を戦いに参加させるなんてけしからんと批判する人はいないのだろうか。
女性の戦争参加の是非についてはフェミニズムの中でも二つの意見が対立していて、一つは、女が男並みに社会参加することを求めるのであれば、当然戦争参加においても男女は平等であるべしというものであって、アメリカ最大の女性団体NOW(全米女性機構)はこっちのほうである。リベラル・フェミニズムの立場に立てば当然、特撮ヒーロー番組において女戦士の出番はもっともっと増やすべきという意見に諸手をあげて賛成することになろう。もう一つは、いかなる形であれ女性の戦争参加に反対するというものであって、療養中に読んだ上野千鶴子『生き延びるための思想』を一言で要約すると、「力に対抗するためには力を」という考えそのものを乗り越えなければいけないということらしい。それがラディカル・フェミニズムであると。現実から完全に遊離した議論だとしか思えない。五十年、百年のスパンの話をするならそういう議論も意味を持とうが、現実に今世界中で戦争が起こっていて、多くの女性もまた戦闘への参加をめぐって岐路に立たされている。そういう状況において、そんな言葉遊びが何の役に立つのか。しかし、そういう意見に賛成している人たちというのは沢山いるらしい。では、そういう人たちはなぜ戦隊シリーズを批判しないのであろうか。いちいち子ども番組なんかに目くじら立てていられないということなのか。だが、斎藤美奈子氏の『紅一点論』が話題になって、あたかもフェミニズム全体の意見を代表しているかのような形で戦隊内男女不平等を俎上に載せたとき、そんな問題の設定の立て方そのものが、敵の設定したワナだというふうに、持論を展開して批判するラディカル・フェミニストがどうしていなかったのか。
言っておくが、スーパー戦隊のやっていることは戦争である。相手が異星人だったり異次元人だったり地底人だったりするだけで、侵略者に抗して祖国を防衛するための戦争であり、殺し合いであることには違いないのだ。
特撮ヒロインの女性学
フェミニズムの敵はフェミニズム
今年の正月に佐藤文香『軍事組織とジェンダー』という本を読み終わった後、どうにもやりきれない思いばかりが残った。
別に大した本ではない。女性の軍隊参加について論じるのであれば、この程度の調査は当然踏まえておかなければならないという、ごくごく基礎的な研究本だ。
だが、それでも500ページもあるのだ。
誰が読むんだろう。やっぱり研究者同士が読むんだろうか。
一般大衆は、その本の厚さを見ただけで敬遠するだろう。
そして「男社会が悪い」と馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返すだけの本が売れ、真面目にフェミニズムについて研究を深めたいと思った人は象牙の塔にこもるしかないではないか。
学問的水準を落とさずに、大衆に向かって分かりやすく語ることのできる人材が、フェミニズムには絶望的に欠けている。
どうにかならんのか。
-
- フェミニズムの二つの立場とスーパー戦隊 (02/22)
- フェミニズムの敵はフェミニズム (04/23)
-
- 平成仮面ライダーに「品性」はあるのか。
⇒ 仮面ライダー白倉 (06/27) - 誰が千葉麗子を勘違いさせたのか
⇒ Naura Printing (06/22) - 『ドラえもん』を神棚から引きずりおろせ
⇒ Naura Printing (06/22) - 戦隊ヒロインとホットパンツ(前編)
⇒ Naura Printing (06/10) - 戦隊ヒロインとホットパンツ(前編)
⇒ CETAK BANNER 24 JAM (06/01) - 『ドラえもん』を神棚から引きずりおろせ
⇒ percetakan jakarta timur (05/29) - ゲゲゲの正義漢
⇒ 市民X (05/19) - 戦隊ヒロインとホットパンツ(前編)
⇒ percetakan jakarta (04/20) - 戦隊ヒロインとホットパンツ(前編)
⇒ percetakan jakarta timur (04/20) - スーツアクターという難題
⇒ Gujarat Tour Packages (12/19)
- 平成仮面ライダーに「品性」はあるのか。
-
- March 2016 (12)
- February 2016 (12)
- January 2016 (13)
- December 2015 (13)
- November 2015 (11)
- October 2015 (14)
- September 2015 (13)
- August 2015 (12)
- July 2015 (13)
- June 2015 (14)
- May 2015 (13)
- April 2015 (13)
- March 2015 (13)
- February 2015 (12)
- January 2015 (13)
- December 2014 (14)
- November 2014 (12)
- October 2014 (14)
- September 2014 (14)
- April 2011 (3)
- March 2011 (3)
- February 2011 (9)
- July 2010 (1)
- June 2010 (2)
- May 2010 (2)
- April 2010 (7)
- March 2010 (8)
- February 2010 (11)
- January 2010 (11)
- October 2009 (1)
- June 2008 (3)
- May 2008 (2)
- April 2008 (4)
- March 2008 (4)
-
- 高寺成紀はなぜ戦隊を悪く言わないのか(前編)
⇒ Натяжные потолк& (09/23) - 愛の批判・憎悪の批判
⇒ Exotic Pet Store (09/21) - 『ヱヴァ』が完結しない理由(わけ)
⇒ visit this Site (09/19) - 愛の批判・憎悪の批判
⇒ packwood (09/11) - 反面教師としての『ドラえもん』(その1)
⇒ glo cart (09/02) - 『ヱヴァ』が完結しない理由(わけ)
⇒ polkadot mushoom (09/02) - 『ドラえもん のび太の勧善懲悪』(中編)
⇒ lyt chocolate bar (08/31) - パーマンをやることは義務なのか(その5=完結)
⇒ awaken mushroom Chocolate: (08/31) - とうとう全否定された『仮面ライダークウガ』
⇒ organic search engine optimisation (08/28) - 『ドラえもん のび太の勧善懲悪』(前編)
⇒ goo'd extracts 2g disposables (08/25)
- 高寺成紀はなぜ戦隊を悪く言わないのか(前編)
-