誰がスーパーヒーロー大戦を批判できるのか
レッカ社「語ろう! クウガ アギト 龍騎」(2013年)
『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』の制作が先日発表になったというのに、今年はあまり批判の声に勢いがないような気がする。こんな映画は過去のヒーローを貶めるような内容になるに決まっているのだし、もう濫発はやめろという声が湧き上がるのが毎年恒例のはずなのだが。
この『語ろう』という本にも、宇多丸氏による『仮面ライダーディケイド』劇場版「オールライダー対大ショッカー」(2009年)の批判が収録されている。東映の特撮ヒーロー大集合系の映画に対する批判の典型的なものであり、内容自体は全くの正論である。だが、こんな批判のやり方には何の有効性もないし、共感の輪が広がることもありえない、という理解がファンの間にも浸透したということだろうか。遅まきながら。
この本の最大の目玉は、高寺成紀氏という人がここまでイタい人だということを明らかにしたことである。『仮面ライダークウガ』を、自分一人だけの力で成功させたと思っているプロデューサー、という噂は前から聞いていた。しかし『宇宙刑事』だの『仮面ライダーBLACK』だの、子供だましの作品ばっかり作って活気を失っていた当時の東映特撮を、『クウガ』が全部変えたという話が出てくるに及んでは、読んでいて開いた口がふさがらなかった。
宇多丸氏を含めた他の六人は、さすがにここまでイタいことは言ってはいない。だが、『クウガ』およびそれに続く平成仮面ライダー初期作品は、従来の東映の特撮ヒーロー物とは違っていたがゆえに素晴らしく、またヒット作になったのだ、という認識は、多かれ少なかれ全員に共通しているように見受けられる。新しい世代が新しいものを付け加えた、というのは事実である。しかし昭和ライダーのブランドの力がなければそもそも企画自体が存在せず、また戦隊やメタルを作り続ける中で維持されてきたノウハウがなければ、『クウガ』を完成させることもできなかった、という認識が余りにも薄い。
先輩たちに対する感謝の念を忘れ、全部自分たちの功績だとうぬぼれていた連中が、今度は自分たちが先輩の立場になったとき、後輩からどのような扱いを受けることになるのか。
『クウガ』や『アギト』、『龍騎』が成功したおかげで平成仮面ライダーは今なお続いている。それは事実である。そしてその恩を忘れ、その平成初期作品が持っていた志も魂も踏みにじり、過去のライダーたちを十把一絡げに扱った映画が毎年濫発されている。だがそれに対して怒る資格は誰にもない。それは「報い」というものだ。
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