十七の小娘になめられた戦隊シリーズ

 『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の百地霞役、山谷花純氏の2月9日のブログ記事「モモニンジャー 百地霞。」(最終回放映の翌々日)

私はアイドルじゃなくて女優です。
だから、朝の30分 子供番組でも、ちゃんと芝居を見せたかった。(強調は引用者)
 なんじゃこりゃ?
 さらに続けて。
役と作品への向き合い方を、同年代のキャストへ背中で伝えたかった。
 なんで背中……?
 スーパー戦隊シリーズでは、主役の戦士はキャリアが一年とか二年とかの、新人同然の俳優から選ばれることが慣例になっている。彼らにとっては、死に物狂いでものにすべきチャンスである。演技力を磨いて名を売って、将来もっと大きなチャンスを掴むためのステップボードにしようと全力投球せねばならない時である。そのためにはジャリ番などと気にする余裕などあるはずもない。
 山谷氏をのぞいて。
 彼女は十一歳でデビューしているから、七年のキャリアがあった。他の五人(追加戦士を含めて)とは切実さが全然違う。私は他の人とは違って別格なのよと思っていても不思議はない。とはいってもたった七年ではないか。検索をかけた限り、特に注目された役をこなしてきたわけでもないようにみえる。そんな十七(当時)の小娘にすら見下されるとは、スーパー戦隊シリーズもよくもここまで落ちぶれたものだ。
 無論こういう勘違いをしたまま現場にやって来るキャストは昔からいた。というか、若い頃にはありがちなことである。そして彼らは一様に、撮影の現場でスタッフの人達がどれほど真剣に番組制作に打ち込んでいるかを目の前にして、自分の勘違いを思い知らされ恥じ入ったのである。山谷氏は一年を通じて自分の考えが変わった部分もあったことについて書いているが、「子供番組でも」など考えていた自分の傲慢さに思い至ったという記述はない。今の戦隊シリーズの撮影現場にどれほど弛んだ雰囲気が充満しているのか、察しがつくというものだ。こんなことをブログで晒されて、スタッフの人達は情けないとか恥ずかしいとか思っているのだろうか。
 そういえば小川輝晃氏や塩谷瞬氏がゲストで出演した時、自分たちの頃に比べて俳優たちがスタッフから叱られることが少ないことに驚き、心配になったなどと言っていたことがあった。
 心配すべきは俳優ではなくてスタッフの方だったようだ。

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