東映特撮ヒーローは本当に時代劇に源があるのか
しつこく『泣き虫プロデューサーの遺言状』の話。平山亨氏という人は本当に、死ぬまで子供の心を持った人だったのだなあと、つくづく思った。悪い意味で。
自分のことを本当に尊敬し慕ってくれるファンと、「平山亨」というネームバリューを利用しようと近づいてくる人とを、見分ける目を死ぬまで持つことがなかったようだ。晩年「監修・平山亨」というクレジットのある映像作品が何作か作られたが、これは内容についてはノータッチで、名前貸してくれと言われて貸しただけらしい。そういうことをやっては駄目だろ。そんなことするから、業界ゴロが近寄ってくるんだ。唐沢俊一とか。
そういう連中にとっては、平山亨のネームバリューが高ければ高いほどよい。だから仮面ライダーやスーパー戦隊について、あれも平山さんが考えたことだ、これも平山さんのアイディアだ、などと吹聴し、平山氏が積極的に否定して回らない限り、それが定着する。そういう連中に囲まれていると、平山氏本人もまた仮面ライダーやゴレンジャーについて、なんでもかんでも自分で考えたみたいに思い込み、うっかりインタビューでそんなふうにしゃべったりするのだろう。本人に悪気はないんだろうとは思うが。
私は別にプロデューサーの手柄話なんかに興味はない。純粋に、『ゴレンジャー』がどのような経緯で企画され、制作に移されたかについて知りたいだけである。そういう人間にとっては大迷惑な話である。
特撮ヒーロー番組において東映が一人勝ちを収めることができたのは、時代劇の下地があったからだ、ということがよく言われる。それを否定するわけではない。だが、それも単に一要素に過ぎないものを、平山氏の取り巻きが過度に強調している可能性もある。『ゴレンジャー』の頃になると、時代劇というよりは刑事ドラマの手法の影響のほうが大きいような気がする。ちなみに平山氏は東映京都撮影所出身、吉川氏は一般ドラマ出身。
批判がましいことばかり書いてるが、私だって数多くのヒット作を手がけた平山氏の業績に対しては、尊敬の念を抱いている。その偉大なテレビプロデューサーが、あれも俺が作った、これも俺が作ったなどと、無様な姿を晒して晩年を過ごしていたかと思うと胸が痛む。そして平山氏が亡くなった今、業界ゴロどもが次のターゲットとして狙いを絞っているのが息子さんというわけか。
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