平成宇宙刑事とは何だったのか(前編)
渡洋史氏は『宇宙刑事シャリバン』(1983年)でシャリバン・伊賀電を演った人であるが、『宇宙刑事シャリバン Next Generation』(2014年)にも出演し、その際に、ブログにこんなことを書いていた(2014年6月5日)。
そして今回ヒットになれば次回はまた劇場版やテレビシリーズに繋がるかもしれませんので、是非ともDVDをレンタルではなくお宝物として皆さんの手元に置いておいて頂けたら幸いです。で、その後何の新しい動きもないところを見ると、結局売れなかったのか。だったら報告ぐらいすればいいのに。目標とする売り上げはどれだけで、実際売れたのはどれだけか。それがファンに対する礼儀ではないかと思うが、まあどうせ売れるなんて最初から本気で考えていなかったんだろうけど。
こういうのを見ると、宇宙刑事ファンには本当に同情する。
冷静に考えれば、そんなに無茶苦茶売れるような内容でないことは最初から明らかだった。ただ、万一の可能性を前にすれば冷静さを失うからこそ「ファン」というのだし、彼らはここ十何年もの間ずっと、その手の生殺しの目にあわされ続けてきた。
だいたい第一作である『宇宙刑事ギャバン』(1982年)からして、ヒットはヒットでも大ヒットではない。これをシリーズ化するにしても三年がせいぜいと思った当時の東映スタッフの判断は妥当なものだった。現状、東映特撮ヒーロー物としては仮面ライダーとスーパー戦隊の二大シリーズが盤石の地位を占め、それよりはるかに格下にキカイダーや変身忍者嵐があり、宇宙刑事を含むメタルヒーローがいるのもまたそこだ。ただ東映としてはライダーと戦隊だけというのは不安ではあるし、だから時々思い出したように宇宙刑事、あるいはメタルヒーローをプッシュする。そして口先では1980年代のヒーロー物の金字塔だとかなんとか麗々しく言葉を飾って持ち上げはするものの、内心では単なる補欠としか思っていないし、ちょっとやってうまくいかなければじゃあ次はキカイダーのリブートでもやるかという具合。
糠喜びをさせられてはガッカリさせられるの繰り返し。ファンは本当に気の毒である。
だから『スーパーヒーロー大戦Z』でも、宇宙刑事ファンが怒るのは当然ではあるが、だからといってそれ以外の人々に共感が広がるわけでもない。冷酷かつ無能な上司の役というのが、今の宇宙刑事ブランドの価値からしてみれば、相応の扱いというわけだ。(続く)
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