特撮技術の進歩は何のため?
佛田洋『特撮仕事人』
戦隊ロボの在り方を見ても、昔は1年に1体のロボットでやっていて、それがだんだん2号ロボ、3号ロボと増えていって、そういう進化がシリーズの面白さや発展に繋がったんだけど、以前に比べてロボに乗ることのありがたみが薄れてる気がするというか。昔は、“このロボがやられたら大ピンチなんだ!”という緊迫感があったけど、今は“やられても、また次のロボが出るんだろ”みたいな。(佛田洋『特撮仕事人』p.178〜179)断っておくと、佛田氏は別に今の東映の商法に対して批判的なわけでは全然ない。ただ戦隊シリーズの初期からスタッフとして関わり、『地球戦隊ファイブマン』(1990年)からはずっと特撮監督を務めている佛田氏が私と全く同じことを考えていたので、都合のいい部分だけ抜書きして、虎の威を借る狐をやろうと思った次第である。
私は『超新星フラッシュマン』の第15話をリアルタイムで見ているが、フラッシュキングの腕がもげ、火花をまき散らしながら倒れたシーンの衝撃は今でも忘れられない。なにしろ巨大ロボがシリーズ史上初めて敗北した回なのである。目の前で何が起こっているのか、理解するのにしばらく時間がかかった。今の若い人たちには、戦隊シリーズを見てこれほどの衝撃を味わうことなどないであろう。――なんて書き方をしたら自慢みたいに思われるだろうか。
また、この本では、佛田氏を筆頭とする特撮班が、面白い映像を撮るためにどれほど粉骨砕身しているかも書かれているのだが、会心の画が撮れたからといって、おもちゃの売り上げに結びつくとは限らないらしい。それよりも、たくさん出すことのほうが重要だと(p.165〜166)。売り上げのためには、質を高めるよりも量を増やすほうが効果的、そして量を増やすことは質の低下につながりやすい。
だからといって、じゃあ今からロボの数を減らせば、一体一体に対する子供たちの愛着が以前のように増すかといったら、それも無理だろう。単に物足りなく思われるだけだ。今の若い人たちに、『フラッシュマン』の第15話を見せたところで、衝撃なんか感じるとはとても思えんし。結局このまま物量作戦を続けていくしかないのだろうか。
昔はCGなんかなかったし、ミニチュア感丸出しの特撮や、不自然なオプチカル合成とかもあった。イラストがそのまま出てくることも。それでも別に大した不満はなかった。今は昔に比べて技術は格段に進歩し、にもかかわらず、子供たちが番組から感じる興奮や感動が、昔に比べて劣っているとしたら、いったい何のための技術の進歩なんだろう。
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