なぜ『仮面ライダー鎧武』の視聴率は低いのか

 断っておくが、私は『鎧武』は見たことがない。こういう人間が口出しをしていいものかとは思うが、まあ現在仮面ライダーシリーズが抱えている問題は、「スーパー戦隊シリーズの視聴率(改訂版)」で書いたこととほとんど変わらないし、他に真剣に考察している人もいないみたいなので、まあいいか。
 『鎧武』の視聴率が低い原因は、どう考えても十月開始のせいだろう。
 昨年までは九月開始であった。仮面ライダーにとって、クリスマス商戦の重要さは今さら言うまでもないし、年内にグッズは全部作中に出しておかなければならない。その期間が一ヶ月減った。そのためストーリーの盛り上げを二の次にして、とにかくキャラクターやアイテムを劇中にドカドカ出すことに専心しなくてはならなくなった。虚淵玄氏も確かそんなことをしゃべっていたはずである。だいたいこういうことは十月開始という発表がなされた時点であちこちの掲示板などでも危惧されていたことである。
 そしていったん離れた視聴者は、その後どれだけ面白くなったところで再びテレビをつけることはない。そういうものである。
 スーパー戦隊に比べて、仮面ライダーの方はまだしも新しいことにチャレンジしようという精神を持っている。そのためにわざわざ外部から特撮未経験の脚本家を招聘したのであろうが、その人の持ち味を存分に発揮させるための環境を整えるのであれば、販促計画を根本的なところから見直すか、それとも今年一年間は将来への投資と割りきって、売上が落ちても構わないと腹をくくるべきだった。なんでこんなちぐはぐなことになっているのか。
 というか、そもそもなんで十月開始にしたのだろうか? 視聴者の多くも疑問に思っているはずのことを、どうして特撮雑誌はプロデューサーにインタビューしに行かないのか。それが不思議である。

 販促に熱心なのはいい。今の東映特撮の問題は、販促だけが大事で、他のことはどうでもよくなっていることである。『鎧武』はその状況を打破するために送り出したのではなかったのか。その『鎧武』、玩具の売上だけは良いらしい。
 こんなことで本当にいいのか?

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