なぜ大葉健二を叩かないのか

 2013年の『スーパーヒーロー大戦Z』におけるギャバン・一条寺烈の扱いについて、『宇宙刑事ギャバン』のファンが怒ったのは当然である。もっとも、その怒りに対して共感を寄せる気など、まったく起こらなかったが。
 私が不可解だったのは、この映画が公開された当時、インターネットの掲示板などで一番叩かれていたのが白倉伸一郎プロデューサーだったということである。白倉なんか叩いたってしょうがないだろ! ファンの思い入れよりも金のほうが大事というのは東映という会社が長年かかって築き上げてきた社風であって、氏は単にその伝統に従って仕事をしただけである。個人でどうにかなる問題ではない。他にも脚本の米村正二氏と監督の金田治氏が叩かれていた。
 だったらなぜ大葉健二氏を叩かないのか?
 それこそが「鎖の最も弱い環」だろう。
 だいたい白倉氏という人は、敵が多いほどうれしくなるというか、いくら叩いたところで蛙の面に小便というか、そーゆー人だというのはもう周知の事実ではないか。それに比べて俳優はイメージが大事である。叩いて叩いて叩きまくって、ノイローゼにしてやったらよかったのだ。そして、自分がこんな糞映画に出演し、一条寺烈役を演じたことによって、どれほどファンの気持を傷つけてしまったかということを、大葉氏に骨身にしみるまで分からせてやるべきであった。大葉氏もまた被害者である、などという弁明の成立する余地は一切ない。ギャラを受け取った以上は。
 しかしファンは過激な行動に出ることもなかったし、そしてそれ以降も東映は懲りることなく、往年の俳優を起用して同じような糞映画を作り続けている。
 要するに、ファンはナメられているのだ。どうせあいつらはそんな大それたことをするだけの智恵もなければ行動力もない。そのように白倉氏に見透かされているのだ。そうである以上今後もやりたい放題は続くだろう。
 ところで、『仮面ライダークウガ』の主演を演じたオダギリジョー氏は、こちらのほうは理由はよく分からないが『クウガ』ファンからよく叩かれる人である。先日放送された『高寺成紀の怪獣ラジオ』では、「今後、五代雄介を演じることはありえますか」と質問されて、それに対する答えが「脚本次第」。
 ヒーローの魂を持った俳優は一体どっちだろうか。

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