内田樹先生、そんなにお金が好きですか

内田樹

東映、14年年間興行収入は116億円で31%減

 松竹(139億)にも逆転されたということで、さっそく特撮ファンの間からは喝采が上がっている。
 もちろん東映を憎んでいるのではない。今までのやり方ではダメだということに東映が気づき、心を入れかえることを願っているのである。
 まあそれも無理だと思うけど。

 内田樹という人がいる。この人の書くものは私も好きで、物の考え方をこの人から学んだこともあった。それが2005年くらいからあれよあれよという間に劣化が進行し、中身スカスカの本を大量に出しているというのが現状。最近の本は以前どこかで書いたことの使い回しばかり。対談本なんか特にひどい。このへんの事情は某映画会社とそっくりだから詳述しないが、深刻なのは、この人が資本主義の批判をしているということである。
 「金は不浄のもの」という教育が日本から失われたのは嘆かわしい、などと書いている人である。その当人が、資本主義のシステムに首までどっぷりと浸って身動きがとれなくなり、駄本の濫発をしているのである。
 どうも本人もその矛盾に気がついてはいるらしい。ツイッターでは定期的に、仕事を減らすぞ仕事を減らすぞというツイートが上がっている。にもかかわらず出版ペースは上がる一方。全力でペダルを踏み続けなければ倒れてしまう自転車みたいな状態。

 話を東映に戻す。世の中には映画なんか作るより、もっと楽してたくさん金をかせぐ仕事はいっぱいある。それをわざわざ東映というヤクザ会社に入社したということは、よっぽど映画が好きな人たちに違いない。彼らがその「いい映画を作りたい」という初心に立ち返れば、再び東映特撮は輝きを取り戻すはずだ。……などとファンが夢想するのも無理はない。東映の減収に喝采を叫んだのも、多分そういう人たちだろう。しかし、内田樹先生が駄本を大量に出しているのも、東映が仮面ライダーの映画を粗製乱造しているのも、大本になるのは資本主義というシステムである。そしてシステムに対しては、個人の「心構え」だとか「志」だとかが太刀打ちできるものでは全然ない。このことは認識しておく必要がある。
 まあ、仮に本当に東映が心を入れかえて、一作一作にじっくりと予算と時間を投入するという方針に転換したところで、粗製乱造が粗製寡造になるだけだろうけどね。

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