パーマンをやることは義務なのか(その4)
(承前)「等身大のヒーロー」と聞けば、ああこれは『パーマン』のテーマだなと藤子・F・不二雄ファンなら思うところであろうが、実はこれ1990年代半ばのスーパー戦隊(『激走戦隊カーレンジャー』や『電磁戦隊メガレンジャー』等)のテーマでもあった。
ただし『パーマン』が正真正銘の等身大であったのに対して、戦隊の場合はじっくり見れば決して視聴者にとって等身大の存在であったとはいえない。
メガレンジャーになる五人は高校生である。そして彼らにとって最も関心があるのは、地球の平和とか人類の未来とかいうことよりも、自分たちの高校生活を充実したものにすることである。つまり勉強とか、仲間との友情とか、文化祭とか、そしてその一環として、メガレンジャーとしての活動が位置づけられている。
しかしそれは決して、それ以前の戦隊ヒーローに比べて彼らが任務に対して真面目さに欠けているということを意味しない。学園生活を充実させるためにこそ、メガレンジャーとしての活動に真剣に打ち込む必要があるのだ。そして、人類は果たして守るに値する存在なのか、などといった困難な問題とも真正面からぶつからざるをえなくなる。それが戦隊史上随一とさえいえる、最終盤の展開の重苦しさである。
一見彼らはフツーの高校生のように見える。しかし何十億人もの人類の運命を背負って戦っているという事実が厳然として存在している以上、高い意識を持った戦士へと成長しないわけにはいかない。厳密な意味で「視聴者と等身大」であることなど不可能である。狭い世界(身近な人間関係)と広い世界(地球の平和)との関係が、いちおう切断されている『パーマン』の世界とは違って、戦隊ではそれは切り離すことはできない。
ところがどうも最近の戦隊を見ていると、スタッフは本当の意味で等身大ヒーローを作ろうとしているのではないか、という気がしてならない。それこそ「鵜の真似をする烏」なのだが、そう考えた時、たとえば今年の『手裏剣戦隊ニンニンジャー』を面白いと言っている人もいれば、つまらないと言っている人もいる、その両方の気持ちが理解できるはずだ。
なんかダラダラ書いてきたが、いよいよ結論が見えてきたような感じがする。(続く)
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