バトルコサックとソ連の無関係さについて

バトルコサック
 『バトルフィーバーJ』の五人はそれぞれ国を代表する戦士であり、バトルコサックはソ連代表である――などという誤解が蔓延しているようなので、ここで訂正役を買って出る。
 コサックの胸のエンブレムを、ソ連の国旗とよく見比べてもらいたい。左右が逆である。これはソ連ではなく、第四インターナショナルである。「鎌と槌」はもともと全世界の共産主義運動のマークであり、ソ連もまたそれを国旗に拝借した。だが、それをスターリニズムと批判し、自分たちこそ真の共産主義者と自任する勢力も当然存在した。彼らは別バージョンの「鎌と槌」をシンボルとしていただき、そのために左右が反転しているのである。
 といっても第四インターとは、マニアックに過ぎる。非ソ連型社会主義のシンボルとして使われている、というくらいに考えておくのが妥当ではないか。ソビエト連邦という国と切り離して、労働者と農民の連帯、社会主義の理想のために戦う人達のシンボルだと。とするとバトルフランスも、ひょっとしてフランス共和国という国とは関係なく、胸のエンブレムも単に「自由・平等・友愛の旗」という意味だったのかもしれない。なにしろ得意技がフラメンコなんだし。
 バトルフィーバーは世界各地から集った戦士たちである。世界各国から集まった戦士ではない。似たようなものと思うかもしれないが、違うのである。
 国家だの国民だのといった枠組みを超え、平和を愛する若者が世界中から集まり力を合わせて戦う、というロマンが1979年当時にはあった。時あたかも冷戦の真っ最中、東西両陣営が大量の核兵器を抱えて睨みあっていた時期である(ちなみに日本は西側の一員)。冷戦が終わり、現在の我々は、以前ほどには第三次世界大戦の危機に怯えずにすむようになった。しかし国という枠組みでしか世界の物事を考えられなくなっているのは、冷戦時代以上という気がする。
 なんか皮肉である。

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