『シンケンジャー』からの宣戦布告

 本当は他の作品の批判なんて、あんまりしたくはないのである。
 たとえば『轟轟戦隊ボウケンジャー』は「30戦隊大全集」というミニコーナーを設け、「俺たちの前のたくさんの先輩たち」の紹介をやっていた。これを見て、今の子供たちが旧作に興味を持ったりするかもしれない。こんなことをやられたら、『ボウケンジャー』の批判は口にしにくい。
 東映としては、新作のファンに対しては「旧作も面白いよ」、旧作のファンに対しては「新作も見てみなよ」という態度を一貫して取り続けてきたはずだ。双方、言いたいことは多々あれどグッとこらえて、新作が好きな人も旧作が好きな人もお互いを尊重し批判を手控えるのが双方の利益にかなうことだと言われれば確かにそうである。
 「昔はよかった」などと書こうものなら即座に「回顧厨」などとレッテル貼りをしてブログを荒らして回る連中がいるが、ああいう手合いに来られるのもイヤだし。
 などと考えていたのだが、最近ちょっと考えを改めることがあった。
 たとえば『東映ヒーローMAX』という雑誌で、過去の作品について特集をするときなど、問題点・反省点なんか全然載らないから、読みごたえの全然ないスカスカの文章だらけだ。
 批判をしないなどというのは欺瞞である。つまらない作品に対してはつまらないと言わなければならない。意見があれば堂々とぶつけあうべきである。批判のないところには進歩も発展もない。
 そして先日、『侍戦隊シンケンジャー』の東映公式サイト、その第三十四幕の分に、1984年まで戦隊シリーズは衰亡期にあった、という意味の文章が載ったのを発見した。
 非常に微妙な、遠まわしな書き方がしてあるのは、やはり過去の作品をおおっぴらに批判することに対するためらいがあったのであろうか。「中興の祖」などという難しい言葉を使って文章の真意をカモフラージュしようという意図も感じられる。
 とにかく、東映の公式サイトが以前のような馴れ合いの態度をかなぐり捨てた以上、正々堂々とこの挑戦を受けてたつべきであると考えた。
 ただ、一つ困ったことが起きた。以前は一つの作品について三十話も見れば十分だろうと思っていたのだが、批判するからにはちゃんと全話を見なくてはなるまい。だいたい十話も見れば、傑作か駄作かくらいは分かる。駄作と知りつつ五十話も見るのがどれほどの苦痛か。こちらとしてはそれだけ腹をくくって批判をするつもりであるので、それを承知の上で私を「回顧厨」と呼びたい人は、好きなだけ呼んでいただきたい。

Go to top of page