こんなので満足なのか――『シャリバンNEXT』感想

 「最近の若者はなってない。俺達が若い時はこうではなかった」
 などという不満を日々募らせているおっさんたちに、溜飲を下げさせる。Vシネマ『宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION』はそういう映画。
 伊賀電(初代)から日向快(二代目)へと、シャリバンの名が受け継がれる物語。快が電から学び、電もまた快から学び、二人とも成長していく、というのではない。一方的に快が電から学ぶだけの話である。そして「宇宙刑事とは何か」と迷っていた快は、一人前へと成長し、電に感謝して深々と頭を下げる。
 若い人に受けることは最初から全然考えていないのはいいとして、おっさんが見ても面白いのだろうか。快が得た「宇宙刑事とは何か」に対する答えというのは、まんま1980年代のヒーローの価値観なのである。それは当時であれば、わざわざ学習するまでもなく、ヒーローの誰もが自然に身につけていたものだ。努力して身につけようとする、もうその時点でシャリバンの名を受け継ぐ資格はないし、そんなもん受け継がなくていい。1980年代に子供時代を過ごし、ヒーローの活躍に胸をときめかせ、そして今おっさんになった人たちなら絶対に分かっているはずのことと思ったが。
 私は今のスーパー戦隊や仮面ライダーにも色々問題があることは承知している。しかし「不易流行」をめざして頑張っている、ということだけは事実である。戦隊やライダーが毎年戦っているリングに、宇宙刑事も上がってくるのかと思ったら、早々に降りてしまったようだ。
 それでもネット上の感想を見ていると、ファンも手放しで喜んでいるわけではなさそうだ。平成宇宙刑事として今後シリーズ展開するのであれば、このままVシネマで続けてほしい。そういう声が圧倒的である。
 渡洋史氏(伊賀電役の人)のブログを見たら、このVシネマがバカ売れして、劇場映画やテレビシリーズにつながることを期待するとか書いてある。分かっていないのは作り手の側だけのようだ。

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