もう勝手にしろ――『シャイダーNEXT』感想

アニー中年

私の場合は彼を信じてくれたから、がんばれたんだけどな
 いきなりこれかよ。
 「彼が信じてくれたから」なのか「彼を信じていたから」なのか。その両方が入り混じった気持ちを表現するセリフ……なわけないわな。単に仕事が雑なだけだ。
 これは60分間の映像の中で、アニーが大を、大がアニーをパートナーとしてどのように思っていたかを示唆する唯一のセリフである。それが日本語としておかしいんじゃ話にもならん。
 森永奈緒美さんはこれを機会に本格的に女優業に復帰する気など全くないらしい。こんなものに出たところで自分にとっては何のプラスにもならないわけだし、頼まれたから仕方なく出てやったという感覚だったのだろう。初代シャイダーの円谷浩氏は絶対に出演できない事情だし、また予算も時間も碌にかけられないVシネマである。あなたが出なければセールスが悲惨なことになるのですと言われれば、そりゃ断れんわ。ファンにとっても、二度と顔を見せることはないと思われていた人が顔を見せてくれたのである。文句を言ったらバチが当たる。
 しかしそれにしてもなあ。
 森永奈緒美と言えば、特撮界におていは伝説的女優の一人である。私は当時から文句言いだったからファンにならなかったけど、みんながこぞってアニー、アニーと夢中になっていた気持ちもよく分かった。その人に、こんなしょうもない仕事をさせるのか。モグリの医者という設定も、何が面白いのかよく分からないし。沢村大のその後に関しても、「視聴者に解釈を委ねる」と言えば聞こえはいいが、要するに逃げだなこれは。
 ストーリーについては特に何か言うこともない。戦隊やライダーでこんな話作ってたら、ボロクソに叩かれていただろう。
 しかし今の時代、坂本浩一程度で「エロ監督」なんて呼ばれてんのか。

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