『仮面ライダー鎧武』の自己破産宣告
前回に引き続き『仮面ライダー鎧武』の公式読本の武部直美×虚淵玄の対談。
虚淵 まぁ、言ってしまえば「実験作」だと思うんですけど、こういったアプローチで1年やりきったということが大きいと思います。(中略)可能性を示したことで、少なくとも「平成ライダー」というシリーズに対する閉塞感のようなものは払拭できたんじゃないかと思っています。なにこの志の低さ。
作家が自作について「これは実験作です」などと言うことは、自ら失敗作だと認めるに等しい。そんなの創作の世界では常識でしょ?
要するにこの二人は、無難に60点を取りにいけば楽なのに、あえて新しいことに挑戦して100点か0点かという道を選びました、偉いでしょ、ということを言いたいらしい。そういうことは、100点をとって初めて胸を晴れることだ。実験してなおかつ成功した人は堂々と「成功作です」と言う。実験して失敗した人に限って「これは実験作です」という言い方をする。60点を狙って0点をとるのも、100点を狙って0点をとるのも、一緒のことだ。0点をとって「可能性を残した」もなにもあるか。
この対談では他にも、小さな子供には残酷なものを見せたくないという教育方針の家庭がどうのこうの。そんなことは仮面ライダーシリーズが昔から格闘してきたことだろう。いったい何が新しいのか。自己弁護満載の対談なのだが、よく考えたら私は『鎧武』は一度も見たことないし、平成仮面ライダーに何の興味もない。今の仮面ライダーシリーズがこんな甘ったれた言い訳の通用する世界になっているんだったら、私のごとき部外者が容喙する必要もなかろう。
ただ、武部氏は次の『手裏剣戦隊ニンニンジャー』のプロデューサーでもある。お願いですから、こういう気風は仮面ライダーだけにしておいて、戦隊に持ち込まないでくださいね。仮面ライダーでは何か新しいことに挑戦をしたというだけで評価されるのかもしれませんが(知らんけど)、戦隊の方では挑戦をして、なおかつそれを成功させて初めて評価されるのです。
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