フェミニズムに媚びる杉作J太郎

桃園ミキ運転
『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)第7話「幽霊になったパパ」より

 1986年の男女雇用機会均等法の施行を、フェミニズムにとって勝利だと勘違いしている奴は当時からいた。だが、フェミニズムの真の目標は、矛盾に満ちた現行の社会体制を変革することであり、現行の社会体制をそのままにして女が男並みになることを求めたりすることではない。その「男並みになる」という発想そのものが粉砕対象なのである。
 だが、そんな1980年代的な勘違いを、この2015年になって未だに持ち続けている男どもがいるという事実には、さすがに驚きを禁じえなかった。

――今までの時代だと、車は男性が運転して女性が助手席っていうのが通例だったと思うんですが、『シャイダー』では2人別々の車に乗ってるじゃないですか。(中略)女性が助手席から飛び出したっていうのは新しいな〜と思ったんですよ。
(『宇宙刑事ダイナミックガイドブック』澤井信一郎・森永奈緒美インタビューより。この発言主は杉作J太郎)
 まずはこの発言の内容自体が完全な見当違い。だいたい1984年の時点でヒロインが車を運転する程度のことで驚くか? 『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)では、黄島を助手席に座らせてミキが転する場面すらある。
 しかしそれよりも重要なのは、女が男並みになることを進歩だとか発展だとか決めつける勘違いのほうだ。アニーが車を運転する。その結果としてアニーとシャイダーとの間にどのような関係性が構築されていたか。問題はそこであって、それを論じることなく単に女が車を運転をしたからといって、そんなものは進歩でも退歩でもない。女性の人権なんてハナから興味も持っていなさそうな奴が、口先だけはフェミニズムに対して理解のありそうなことを言って女性の歓心を買おうとし、結果として一層糾弾されるハメになるという場面を、私は1980年代にウンザリするほど見聞き……。
 うわあ嫌なことを思い出してしまった。とにかく21世紀にもなってこんなアホな本出すな。

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