『仮面ライダー1号』、井上敏樹、「七光」?

伊上勝評伝
竹中清・井上敏樹『伊上勝評伝』

 井上敏樹×白倉伸一郎 緊急対談「変身し続ける男たち――映画〈仮面ライダー1号〉公開記念特別番組」で、井上氏に脚本を依頼した理由を聞かれた白倉氏の発言

 なんだかんだいって、伊上さんというメインライター、仮面ライダーの、血筋を継ぐ、じゃないけれど、という方でもあるじゃないですか。それは他の誰にも持っていない、血筋、なんですよね。そこ、運命的なものがあるんじゃないのかなあという気がしますよね。
 言うまでもないことであるが、井上氏が脚本を依頼されたのは、優れた力量を持ったプロであり、作風も今回の企画に合っているからであって、それが伊上勝氏の息子だったというのは単なる結果である。いくら東映が出鱈目な会社とはいえ、血筋が理由でスタッフの起用が決まることなどありえない。
 ただこの発言で気になるのは、初代『仮面ライダー』のメイン脚本家を務めた人間の息子が今回脚本を担当するということが、この映画にとってセールスポイントになるとプロデューサーの白倉氏が本気で考えている、ということである。実際ツイッターなどでの反応を見ると、その判断は当たっているようにも思える。
 井上敏樹という人は親孝行な人である。『伊上勝伝評伝』という本への寄稿文からも、業界の偉大な先輩として尊敬し、また父親として深い愛情を持っていることがひしひしと伝わってくる。それが、白倉氏のこんな発言を放置しておいていいのか。超売れっ子脚本家であった伊上氏が、なぜかくも急に没落していったのか、その有り様を至近距離で見つめていた井上氏はその理由が誰よりも分かっているはずだし、そしてそれが自分の作風にも影響を及ぼしていることの自覚がないわけがない。「伊上勝の息子だから」などという期待を抱いて映画館に足を運ぶ人たちの期待に沿うことは自分にはできないし、沿ったりするような本を書いたりしたら大コケになるのが確実なことは分かっているはずだ。なぜそこで白倉氏の発言を咎めもせずニヤニヤしながら聞くだけだったのか。
 ひょっとしたら、親孝行な井上氏のこと、どうせ今の東映に大した映画が作れる力量がないのは分かりきっているし、自分が脚本を書くことでわずかでも話題性が上がれば、今となってはほぼ忘れ去られた親父の名前に再びスポットライトが当たると思ったのかもしれない。
 「七光」というのは普通子供が親の恩恵を受けることだが、その逆は何と言うのだろう?

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