戦隊ヒロインのアイドル化と純朴幻想
「べつに女優なんてなりたくないし。地味で真面目な仕事のほうが好きだし向いてるし」
『魔法戦隊マジレンジャー』第8話「君こそヒロイン」での小津麗の台詞に、思わず噴いてしまった。
最近は戦隊ヒロインのオーディションも無茶苦茶倍率が高いそうで、その難関をくぐりぬけたということは、「なんがなんでもこの役を射止めてやる!」というギラギラした野心の持ち主にちがいなく、そこでこういう台詞をしゃべれと言われた彼女は一体どんな心境だったのだろうかと想像してしまった。
とまれ、このエピソード、アイドルという存在のすごく鋭いところをついた話ではあった。
やっぱりみんな、純朴な女の子が好きなのである。
アイドル界は昔から、そういう女の子を発掘せんと血眼になっていた。しかしそうなればなるほど、そこから遠のいてしまうという矛盾。
1980年代ごろまでの戦隊ヒロインはどうであったか思い出してみると、やはりガツガツした上昇志向の持ち主もたくさんいたかもしれないが、歌手とか普通のドラマとかに比べれば、子供向け特撮ヒーロー番組なんてのはアイドル界にとっては僻地も同然だったし、こんなところで人気が出たところで次の仕事につながる可能性なんてなかったし、だから視聴者には、この女の子たちは自分の野心のためではなくて純粋に子供たちの夢のために演技をしているのだと勝手に思い込んで、純朴さを見出し夢中になっていた。(まあ錯覚だったかもしれん。)
彼女たちのほとんどは、番組が終われば速攻で芸能界から消えていったが、そのことによって彼女たちに対するファンの幻想はますます強化された。
そうこうしているうちに特撮番組に対する世間の注目度が増し、ヒロインのオーディションの倍率が上がり、現実に成功した女優を輩出するにしたがって、純朴さのレベルはどんどん落ちていくことになる。まあ言っても仕方のないことではあるのだが。
ちなみに、ヒロインが芸能界にデビューするエピソードであるにもかかわらず、荒川稔久氏の脚本ではないという珍しい回。(横手美智子氏である。)
アイドルファンでないほうが、アイドルのツボをかえって知っているのかもしれん。
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