星光子のファンであることの大変さ

 星光子氏の公式サイトに日参していたことがある。
 別に私は星氏のファンではないのだけれども、『ウルトラマンA』(1972年)の途中で突然ヒロインが降板したのは有名な話で、その南夕子役の女優であるし、その三年後に芸能界を引退してからは一切メディアへの出現を拒み、ファンにとっては消息を知りたくても知れない二大特撮人気ヒロインみたいな言われ方をしていて興味を持った。(ちなみにもう一人は大川めぐみ氏。桃園ミキ役。)
 2004年にDVDの発売を機に、メディアに登場するようになるのだが、そこで降板の真相をファンから聞かれて「納得のいく演技ができないので自分から降板を申し出た」と言っていた。だから、2005年9月10日に公式サイトが更新され、降りたのではなく降ろされたのだという内容の記事がUPされたとき、私も星光子ファンと共にその衝撃を味わうことになった。
 私は別にファンではないから、同情する気もないのだが、それより感動したのはファンの反応である。今はブログも始まって、ファンもコメントをつけられるようになっているのだが、そこで「じゃあなんで嘘ついてたんですか」と聞いてるやつが一人もいない。
 星氏にしてみれば『ウルトラマンA』なんてのは昔の話だし、すべてをありのままファンの前にさらけ出すつもりなんか全然なく、ただ思わせぶりなことを書いて同情してもらいたいだけだということは、ブログを読んでいれば容易に分かる。そしてファンも、自分たちが彼女の愚痴を聞いておれば、彼女の昔の心の傷を少しでも癒すことになると思って、聞き役に徹しているのである。彼女が自分たちファンに心を開く気など全然ないということを承知の上で。
 三十年間待ち続けた結果がこれである。
 特撮番組に出ていたヒロインに恋をするということは、現実に恋をすること以上に苦くて切ない思いをすることもあるのだ。
 アニメやマンガのキャラに萌えたとか言ってる人には、こういう感覚というのは分かるのだろうか。
 沈黙を破って以降の星氏が、映画にも出演しさまざまなイベントに出たりと急激に露出を増やす一方、二大ヒロインのもう一方はというと……。
 いやこの話はいいや。

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