なぜ『チンプイ』は完結しなかったのか(その1)

 『チンプイ』は藤子・F・不二雄に見捨てられた作品である。
 などと書いたらムキになって反論してくる人もいよう。F先生は完結に執念を燃やしていたのだが、病魔に倒れ無念にも果たせなかったのである、とかなんとか。しかし『チンプイ』の雑誌連載が終わり、少しだけ描き足して完結させますというアナウンスが出てから、F先生が病没するまで五年以上。体調は良くなかったと聞くが、それでも『大長編ドラえもん』のほうはちゃんと仕事をしていたではないか。『チンプイ』はメジャーな作品ではない。エリちゃんに幸せな結末を迎えてほしい、というファンの痛切な願いに応えるより、億単位のカネの動く『ドラえもん』の映画のほうが大事だったのだろう。
 もっとも、金儲け主義の犠牲になって『チンプイ』が未完のまま終わったなどという事実は藤子プロにとっても体面の悪いことではあるらしい。当時の編集者やらアニメ関係者やらは、最終回についてF先生から構想をうかがったことがあるとか、思わせぶりなことをやたら口にしたりしている。しかしシチュエーションが不自然な割には中身のある話はゼロときている。そんなので読者が騙されるとでも思ったか。ふざけんな!
 もっとも、『チンプイ』を虚心に読めば、どのような結末に向けて話を進める予定であったのかは明白であって、議論の余地などないはずだ。ただしそれはF先生のファンにとっては受け入れがたいことのようだ。彼らは一様に、F先生は読者に対して誠実であろうとしたがために却って未完になってしまったのだ、などという無理のある前提をもとに推論を組み立てる。だから、最終回はエリのクローンがマール星へと旅立つなどという珍説が生まれたり、そしてそれが支持を集めたりする。これは人様のブログだが

「チンプイ」未完結の理由を考察
「チンプイ」未完結の理由を考察 の補足
あらためて「チンプイ」
 私は別に商業主義を悪と思っているわけではない。それはこのブログでも何度も書いてきた。しかし商業主義であるにもかかわらず、いやこれは商業主義に走った結果ではない、読者・視聴者のことを真に思ったがゆえだと言いくるめる手法、そしてそれにまんまと乗せられるファン心理は、いずこも同じのようだ。東映特撮に限った話ではないらしい。(続く)

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