藤子・F・不二雄作品の主人公の顔

 藤子・F・不二雄先生の批判ばっかり書いてると、ファンから恨まれるんじゃないかと内心ビクビクしていたんだが、ファンの方がよっぽど辛辣のようだ。こんなもん見つけた。

【効き藤子F主人公クイズ!】 主人公の顔を画像から選べ
 基本的に藤子・F先生のマンガは日常と非日常の出会いから話が始まる。非日常サイドの主人公のほうは、いずれもユニークなデザインで魅力的なキャラクターばかりなのに対して、日常サイドの主人公のほうは手抜きがすごい。顔がほとんど一緒だ。顔だけではなく、中身も同様。これといった特徴なく、魅力の乏しい平凡人が多い。
 いやこれは本当に手抜きだろうか。平凡なほうが読者としても感情移入しやすいと思ってワザとそうしているのではないか。確かにそういうセオリーはある。それが勘違いであることは、藤子・F先生の大ヒット作品がここに一つも入っていないことからも明らかである。大原正太、須羽みつ夫、野比のび太と、いずれも平凡なだけのキャラクターではない。ま、木手英一やつづれ屋21エモンのように、特徴のある顔で大ヒットしなかったのもあるが。あと、佐倉魔美や春日エリのように、主人公が女性の場合は方針が違うらしい。
 以前藤子・F先生はインタビューで、のび太のことを「どこにでもいる、ごくありふれた男のコ」などと言ったことがある(大全集『Fの森の大冒険』に収録)。んなわけあるか! たとえば学校の成績にしたって、0点が普通なんてのは、のび太くらいのもんだろう。藤子Fワールドにおける日常サイドのキャラクターと非日常サイドのキャラクターの関係が、『ドラえもん』だけが他の作品と違って特殊だということは、愛読者なら誰もが知っていることであって、それを作者が把握していなかったなどということは、ちょっと信じがたいんだけど。
 そういえば大原正太というのはA先生のキャラクターなのだった。『オバケのQ太郎』が藤子不二雄にとっての初の大ヒット作になったのは、そのことが大きいのかもしれない。その後はなぜか合作はやめてしまうのだが、続けておれば、もっとたくさん大ヒット作を生み出していたのだろうか。

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