『ガッチャマン』を無視する戦隊シリーズ
石森章太郎(石ノ森章太郎)『秘密戦隊ゴレンジャー』より。どれが誰のセリフなんだろう。
「パクリとオマージュ」に関する議論というのは、どうしてかくも不毛なのだろうか。
おそらく「独創性」に関する間違った観念が横行しているからであろう。似たようなアイディアを持った作品が以前に存在していたということは、決してその作品の価値を落とすことにはならない。しかし落とすように感じる人は多い。そして騒ぎ立てる。
スーパー戦隊シリーズでいえば『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年)の存在がある。
戦隊シリーズの歴史について書かれた書籍では、このアニメ作品の名前が挙がることは絶対にない(多分)。そして、ヒーローは一人で戦うのが当たり前だと考えられていた時代にあって、五人でチームを組んで戦うヒーローがいかに斬新なアイディアであったかとくどくどと説くことから話を始めるのが普通である。んなわけないって。もちろん、集団ヒーローいうアイディア自体はそれほど革新的なものではない、と書いてある本もある。しかしその場合、先行作品というのが真田十勇士とか南総里見八犬伝とか白浪五人男とか。そこまで遡らんでもいいだろう!
『秘密戦隊ゴレンジャー』は『ガッチャマン』を参考にしたということに言い逃れの余地はない。なぜなら石森章太郎のマンガ版の存在があるからである。これ、五人のキャラクターの分け方がまるっきり『ガッチャマン』なのである。そして石森章太郎は名義上の『ゴレンジャー』の原作者。影響を受けていないなどと言い張るのは無理がありすぎる(ちなみに「原作者」というのも実態ではないのだが。これも大人の事情がからんでいる)。
そういえば、『鳥人戦隊ジェットマン』はガッチャマンと鳥の種類が全部同じというのはやはり、『ガッチャマン』へのオマージュだったのだろうか(生物分類学上ではタカとワシ、フクロウとミミズクは区別しない)。偉大なる先達に対して、さりげない形でリスペクトを捧げようして仕込んだような気がする。それとも単に、勇猛さとか素早さとか、プラスのイメージを伴う鳥類限定で、なおかつバラエティに富ませようとしたら必然的にこの五つになる、というだけの話なのだろうか。スズメやハトの戦士なんて確かにイヤだし。
謎は尽きない。
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