特撮に出た俳優はなぜ勘違いするのか(中編)
(承前)カドの立たないような言い方はないかとずっと考えていたのだが、結局ないようなので、もうはっきり書くことにする。
俳優として大成できなかったにもかかわらず、ファンから金を巻き上げることに精を出す姿は見苦しい。
別に他人が何をやろうと自由である。そしてその行為について、他人が感想を述べるのもまた自由である。別に止めろと言っているわけではない。
だいたい芸能界というのは、毎年膨大な数の人がデビューする。そして同じ数だけの人が消える。テレビ番組で一年間レギュラーの役を務めはしたものの、それ以外はあまりパッとすることもなく引退した俳優など星の数ほどもいるだろう。彼らは引退すれば即座にファンの記憶から消えてゆく。ところが特撮に出てヒーロー・ヒロインを演じた人たちに限ってはそうではない。引退して何年も経ってから、イベントに呼ばれて当時の思い出話をするよう求められたりすることがある。そして特に面白い話が出るわけでもない、冬の撮影は寒かったとか、どうでもいい話が聞けるだけのイベントのチケットに、五千円以上もする値段がつけられたりするのである。
もちろんそのような商売は、特撮ファンの勘違いの上に成立している。ファンは望んで勘違いをしているのだし、だから別に俳優は何か悪どいことをしているわけではない。
勘違いというのは具体的に言うと、「役と役者の混同」のことである。
特撮ファンが憧れの感情を抱く対象は、あくまでもヒーローであって、ヒーローを演じた役者ではない。しかし混同は容易に生じる。劇中でカッコいいヒーローを演じた役者は、役者自身も普段からカッコいい人だとファンは誤解する。ヒーローがカッコいいのは、もちろん役者の演技力もあろうが、プロデューサーや脚本家や監督や、その他大勢のフタッフの努力の結果である。それを、まるで自分一人の実力によってカッコいいヒーロー像を作り上げたかのように勘違いした俳優が、そのイメージを利用してファンから金を巻き上げる行為に加担し、その上ファンに幻滅を味わわせるような行為を働いたりする。これを見苦しいと言わずして、何を見苦しいと言うのか。(続く)
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