『海賊戦隊ゴーカイジャー』には期待しない
『ハイパーホビー』三月号で『海賊戦隊ゴーカイジャー』の宇都宮プロデューサーが「地球人ならば地球を守って戦うのは逃れられない当然のこと」などと言っていて、それを読んだら最近の戦隊がつまらない理由がよーく分かったような気がした。
シリーズ作品の一つ一つを丹念に見ていくと、戦う動機には二種類あることが分かる。公的なものと私的なものだ。「人類は今何をすべきか」という観点に立って戦うことを選択するのが前者、「自分は今何をすべきか」という観点に立って戦うことを選択するのが後者である。そして、やっぱり名作と言われ評判の高い戦隊は、大概そのへんの問題をきっちり考えている。
戦隊シリーズの熱心なファンは、だから、個人主義もナショナリズムも共におろそかに扱っていいものではないと分かっている。ただしナショナリズムに安直に寄りかかって話を作るほうが簡単なわけで、まあ最近のように、おもちゃを次から次へと出すために絶えずパワーアップ合戦で盛り上げなくてはならない状況だと、それも仕方ないのかなという気もするが。
それはそうと。
戦隊にとって一番大事なのはチームワークだと思っている人は多い。しかし一人一人の戦士が自立した強さを持っていることもまた大事であって、この二つは実は両立するものではない。また公私合計の動機の高い低いで、ヒーローを超越的存在にするか人間ドラマ重視にするかが決まる(あんまり低いと話が成立しないから、そこは点線を引いた)。
すべての戦隊について、たとえば「公60私25」とかいうふうに分析し、分布図を作れば、スーパー戦隊の歴史が一目瞭然になる図ができるのではないか。何ヶ月かかるか分からんが。
ところで『ゴーカイジャー』についてだが、五人とも宇宙人であって、地球を守る義理なんぞ全然ない連中が地球を守って戦うというのがミソだそうだ。本当にこのテーマに一年かけて真正面からぶつかるのであれば、少しは期待してやってもいい。
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