女レッドがそんなにイヤか

 「あんな女レッドはイヤ」なのではない。
 「女レッドはイヤ」ということらしい。
 女がレッドをつとめること自体が許せない、女が男の上に立ったり、男に命令したりすること自体が気に食わない……そういう意見が出てくるんじゃないかと思ってシンケンジャーのブログとか掲示板とかいろいろ見てまわったら、案の定である。(そういうことを堂々と書いたりしたら女性差別だと糾弾されるので、「だって、男の子はそういうのイヤでしょ、現にうちの甥っ子が……」などと姑息な言い訳をしている人もいる。)

 最終回を迎える目前の『侍戦隊シンケンジャー』に、女のレッドが出てきたらしい。「らしい」というのは私は見てないからだが、見てる人たちは大騒ぎらしい。そして上記のような意見も出てきている、と。
 一体戦隊シリーズはこの三十年以上もの間、何をやってきたのだ。
 女は男に従属すべきものである。そういう考え方はそういう考え方としてありだ。世間の多数派かもしれない。もっともそれは、男は女を守って戦わねばならないという義務とセットになった上での話だが。
 女を守る義務は負いたくないが、女が男より上に立つのも許せない、なんてのはただの虫のいい話だ。保守的な考えというのですらない。
 戦隊シリーズは、男も女も区別なく、ともに命をかけて戦うというところからスタートしたはずだ。それがいつのまにか、オタクどもに甘ったれた夢を与えるだけの話に変質してしまったのか。
 なさけない。
 それとも、残りの四話で、そんなオタクどもに冷や水をぶっ掛けるような展開になるのだろうか。いや、ぜひともそうなってほしい。

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