バトルケニアとキュアブラック(前)
『バトルフィーバーJ』のバトルケニアをグリーンの戦士として扱うべきかブラックの戦士として扱うべきかという問題は、いまだに戦隊ファンの頭を悩まし続けている。
もともと戦隊シリーズの一作品として作られたものではない。後付けで組み入れられたものである。だから各戦士のシンボルカラーも正式には決まっていない。東映の認可を受けた出版物や玩具などのグッズなどにおいても、扱いはバラバラで、統一するつもりはないらしい。
バトルケニアのスーツやマスクで最も大きい面積を占めているのは黒である(二番目が緑)。それが黒派の主張の根拠である。しかしそれを言うのであれば、バトルジャパンだってレッドではなくホワイトの戦士ということになってしまう。決め手を持っているのは緑派のほうである。体のもっとも中央であるヘソの部分、ベルトのバックルに緑でKの字が書かれているからである(ちなみにジャパンは赤でJ、フランスは青でF、他も同様)。
バトルケニアの写真をじーっと何時間も眺めていたところで、結論は出ない。これはデザインの問題ではない。栄誉の問題なのである。それはどういうことか。
もともと黒は悪のシンボルカラーである。それにこんな暗くて地味な色は子供の人気なんて出ないだろうし、おもちゃだって売れないに決まっている。そのように思われていた。だからこそ、その固定観念を打破して黒の戦士を戦隊シリーズに定着させた功績は偉大なのであるし、その第一号という栄誉を担うのは誰かという問題がファンにとって大きな関心ごとになる。
そのような問題設定をした場合、どうしても三年後の『大戦隊ゴーグルファイブ』に出てきたゴーグルブラックのほうが、バトルケニアよりも分がいいのである。
ゴーグルブラックの場合は、堂々と黒の戦士であることを宣言し、その旧来からの常識に対して真正面からぶつかった。それに対してバトルケニアは最初から、黒の戦士とも緑の戦士ともとれるような存在として生まれた。もしゴーグルブラックが登場することがなければ、今ではケニアは議論の余地なくグリーンの戦士だったはずである。こういう言い方をされると、どうもバトルケニアとしては旗色が悪い。
このへん、プリキュアシリーズにおけるキュアブラックと立場が似ている所がある。(続く)
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