オダギリジョーはいったい何をバカにしたのか?(後編)

 (承前)「自分は『クウガ』を黒歴史にしたことなど一度もない。にもかかわらずそのように言われる」
 というようなことを「高寺成徳の怪獣ラジオ」2015年10月31日放映分でオダギリジョー氏自らが言っていた。もちろん原因は思い込みの激しいファンの方にあるのだが、オダギリ氏に責任が全くないわけでもない。
 オダギリ氏は『クウガ』の主役に決まった時、自殺を考えたという。冷静に考えれば、そんなことがあるわけがない。イヤなら断ればいいのである。しかし純情なファンはこんなことを本気にしたりする。そして、結局はオダギリ氏は五代雄介役を引き受けたということは、まさに命がけの覚悟でこの『クウガ』という作品に臨んだということだ。しかるに、『クウガ』が終わった後も、オダギリ氏は特撮ヒーロー物なんてあんまり好きじゃないなどという発言を続けている。ああ、やっぱりオダギリ氏は『クウガ』なんか演じたことを後悔しているのだ、黒歴史にしているのだ……。まあそういう流れである。
 私もそのラジオを聞いたんだが、オダギリ氏の口調から判断するに、やはり『クウガ』は大切な思い出の作品ではあるが、自分にとっての一番大切な作品というわけでもない、今までこなしてきた数多くの仕事の中の一つである、まあ多分そんな感じである。そりゃそうだ。仕事を一つ引き受けるたびに、いちいち命がけの覚悟なんかしていたら体がいくつあっても足りない。だからこの場合、勘違いするファンが悪いのである。しかしファンをそのような勘違いに仕向けたのもオダギリ氏である。
 じゃあ、最初から正直に、僕は今回この役を引き受けましたが、単なる仕事と思ってこなします、などと言えばよかったのか。それはそれでマズイだろう。芸能人というのは幻想を売るのが商売なのだから。芸能人とファンの関係というのは恐ろしく複雑微妙な構造の上に成り立っているのであり、特撮ファンというのは、その中でも特に思い込みが激しい人が多い。オダギリ先生は、今回のラジオ出演で誤解が払拭されることを望んでいるようだが、そんなに都合よくいくまい。現に、オダギリ氏の「特撮物は好きじゃない」という発言を、「あれは『クウガ』を除く特撮物は好きじゃないという意味なのだ」などと勝手な解釈をし、掲示板荒らしをしている『クウガ』ファンがさっそく見られる。

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