『仮面ライダークウガ』は過去の作品である(その4=完結)
(承前)『クウガ』の鈴木武幸プロデューサー(途中参加)は、後年インタビューでこのようなことを言っている。「こんなものは仮面ライダーではないと言われた時、『クウガ』の成功を確信した」と(ソースは失念)。
当時の仮面ライダーシリーズは確かに先細りの袋小路にはまっていたし、シリーズを再び活性化させるためには、今までの流れを断ち切った、大胆な発想に基づいた新しい仮面ライダー像を作る必要があった。
『クウガ』がその期待に応え、新しい時代の仮面ライダーのスタンダードを示すことのできた作品であったか、それとも単に目新しさが受けただけの作品だったのかは、歴史の審判に委ねられることになろう。
新しいことに挑戦する。それが新鮮さゆえにヒット作になる。ここまではいい。その結果、柳の下のドジョウを狙った作品が次々と作られ、あっという間に鮮度が落ちる。それは仕方ない。その新鮮さを差し引かれて、なおどれだけの魅力がその作品に残るか。それが名作かそうでないかの分水嶺となる。十五年は判断を下すのに十分な時間であろう。
東映としては『クウガ』をどういうふうに扱いたがっているのだろうか。最近の動きを見ると、昭和と平成の断続性を強調したいようにも見えるし、連続性を強調したいようにも見えて、よく分からない。前者であれば、『クウガ』を平成ライダーの原点としてプッシュしていくだろうし、後者であれば、単なるワンオブゼムにすぎなくなる。『クウガ』に限った話ではないが、商売上の都合で、とっくに寿命のつきた作品を「いつまでたっても色褪せない不朽の名作」などと作り手の側が持ち上げることなどよくある話だし、当然その逆もある。
もっともそのような小細工、見抜くのもそんなに難しいことではないのだが。
どんな作品でも、作られた時代の刻印を穿たれている。そして時間の経過に従って、評価も当然変わっていく。そして「今まであまり指摘されてこなかったが、この作品の魅力はこの点にある」という批評の言葉が時代の変化に従って常に新しく生み出されるようであれば、それこそ真の名作と呼ばれるに値する作品である。同じようなことばかり言われ続けるような作品は、もう寿命が尽きていると判断して差し支えない。
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