「ヒーロー歴」を隠して何が悪い!

 「鈴木美潮」といえば特撮ファンにとっては『大戦隊ゴーグルファイブ』第30話に出てきた会津一鉄流の跡取り娘の名前だが、それと同姓同名の新聞記者がいて、「「ヒーロー歴」を隠すな!」などという記事を書いていた。
 お前は一体何様のつもりだ。
 俳優のプロフィールには、出演したすべての作品の名前が記載されていなければならないという決まりはない。売れっ子ならなおのこと、膨大な作品数のすべてを常時把握することなど不可能である。当然取捨選択が行なわれなければならない。では何を基準にするのか。こういうイメージの俳優として売ろう、と本人と事務所が戦略を立て、それに沿って行なわれることになる。その結果として特撮作品が出演歴が除かれることだってあるだろう。ファンにはそれを咎め立てする権利などない。どうしても気に喰わないと思うのならファンをやめればいいだけの話だ。ヒーロー歴がプロフィールから抜けることによって失うファンの数よりも、新たに獲得するファンの数のほうが多いと判断して俳優はそうしているんだから。「特撮ファンとして悲しい」くらいのことは言ってもいい。しかし「隠すな」とは、一体そんなことを言う権利を、お前は一体誰からさずかったのか?

 『東映ヒーローMAX』という雑誌があって、昔の作品の出演者のインタビュー記事が毎回載る。人気のあった人たちには当然のことながら全員に、インタビューの依頼ぐらいはなされたと思われる。しかし非常に人気が高かったにもかかわらず、登場しない人たちもいる。単に連絡がとれないのかもしれないが、断っている人たちも多いはずだ。彼らにとっては特撮番組に出演したことは、今となっては別に誇りでもなんでもなく、過去にそういう仕事をしたこともあったなあと思う程度のことなのだろう。今なお自分の熱烈なファンがたくさんいるということも、別にありがたく思うようなことではないに違いない。
 そしてそんな人たちに対して、「誇りに思わないとはけしからん」なとど言っても空しいだけだ。
 「応援してくれてありがとう」と言い返してくれる可能性がゼロであることを承知して、なお好きであり続けることができるか。本当のファンかどうかが試されるのは、そういう時だ。

 しんどいけどな。

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