石ノ森章太郎って『ジャッカー電撃隊』で何したの?
図は藤子・F・不二雄『ドラえもん』の「ハロー宇宙人」である。のび太とドラえもんが夢中になっているテレビ番組「UFOレンジャー」、そのデザインが『ジャッカー電撃隊』とそっくりだというのはマニアにとっては有名な話だ。
しかしこれ、どっちが先だったのだろう。「ハロー宇宙人」が発表されたのが『少年サンデー増刊』1976年8月10日号。『ジャッカー』は1977年4月からの放送で、デザインはそれより前に出来上がっていたはず。微妙なところだ。石ノ森氏が藤子氏に教えたのか、藤子氏が石ノ森氏に教えたのか、それとも『ゴレンジャー』の次として、顔にトランプなどというアイディアは、誰でも思いつくような安直なものだったのか。
人間であって人間ではない、異形のヒーローというテーマは石ノ森章太郎氏が生涯かけて追求したものだったはずだが、『ジャッカー』からは石ノ森氏のやる気のなさばかりが伝わってくるのはどうしたことか。『マンガ家入門』では『サイボーグ009』を題材にとってストーリーの作り方をマンガ家志望の読者たちに説明している。そこでは、善人の科学者によってサイボーグを作るというアイディアを「平凡」と退け、悪の科学者たちによって無理矢理サイボーグにさせられた主人公たちが反乱を起こすというアイディアを採用する経緯が描かれている。つまり、『ジャッカー』は平凡なアイディアの作品だ、と。
「名ばかりの原作者」の可能性も考えられるが、『ジャッカー』についてはろくな資料がない。もしも石ノ森氏が本腰を入れて取り組んでいれば、いまでもスーパー戦隊シリーズは原作者として石ノ森氏の名前がクレジットされていたのだろうか? 平成仮面ライダーのように。
悪の勢力によって特殊な力を身につけさせられた主人公たちが、その力を使って悪と戦うという、石ノ森氏が好んだテーマが戦隊シリーズで実現したのは『超新星フラッシュマン』(1986年)である。当時すでに戦隊シリーズは石ノ森氏の手から離れていたが、氏はこの作品を一体どのような目で見ていたのだろうか。
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