バイオマンとフラッシュマンに「戦隊」が付かない理由
「スーパー戦隊シリーズ」という名称が確立したのは、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)放映中である。それ以後番組名に「戦隊」の文字が付かなかったのは『超電子バイオマン』(1984年)と『超新星フラッシュマン』(1986年)の二作のみ。
もちろんこれは、単にマンネリ防止のために変わったことをしてみただけと理解している人も多いだろう。では、その間にある『電撃戦隊チェンジマン』(1985年)には何故ついているのか。それがシリーズ初代の『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)と同じく軍人戦隊であるということを、偶然と片付けていいものかどうか。
「戦隊」と言えば今では「スーパーヒーローの集団」みたいな意味が完全に定着しているが、本来これは軍事用語である。詳しい意味はウィキペディアでも見てください。スーパー戦隊シリーズの初期の作品は、すべて軍やそれに準ずる組織に所属しており、本来の用法にのっとった使い方といえる。『電子戦隊デンジマン』(1980年)は例外のようにも思えるが、これもデンジ星の亡命政権に所属する部隊という解釈が可能である。1982年には戦隊シリーズは新体制に移行し、軍隊的な規律とは完全に無縁なヒーロー物として『大戦隊ゴーグルファイブ』が生まれた。「果たしてこのまま『戦隊』という言葉を使い続けていいのだろうか?」という疑念がスタッフの間に生じた可能性はある。だったら思い切って外してしまえ。そして外した『バイオマン』も『フラッシュマン』も十分なヒット作になった。ここにおいて新スタッフは、今後はもう何の気兼ねもなく「戦隊」という言葉を使って番組を作っていくことに自信を持ったのではないか。
「戦隊」という言葉に対するギリギリのこだわりが、シリーズに新しい活力を吹き込んだと言っても牽強付会には当たらないと思う。
ひるがえって2012年、『特命戦隊ゴーバスターズ』ではタイトル名から「ジャー」を外した程度のことが騒がれた。もはや「戦隊」を外すことなど選択肢として存在し得ない。新しいことにチャレンジしようとしても、手枷足枷をはめられた状態とあっては、これで「最近の若い人達は気概がない」などと叩かれたりする、今の戦隊スタッフは本当にかわいそうだと思う。
この話、「「戦隊」自体に商標権はあるのか」という話に続く。
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