名作すぎる『ウルトラセブン』
最初に断っておくと、森次晃嗣氏を批判したいわけではないです。批判するほど詳しくないし。ただ「ひし美ゆり子に対する疑念(後編)」のコメント欄で「森次氏は本当に『ウルトラセブン』に思い入れがあるのだろうか」という内容のことを書いてしまって、これが言葉足らずのために誤解を広める事になってしまっては申し訳ないので、補足しておいたほうがよかろうと思った次第。
そもそも『語ろう! 555 剣 響鬼』という本に森次氏のインタビューが載っているのは、『剣』に天王路という役で出演したからである。しかし質問のほとんどが『セブン』に関係したものである。それ自体変なことではあるが、その中身が妙に模範生的なのが気になったのである。まるで、こういう質問をされたらこう答える、ああいう質問をされたらああ答える、というアンチョコが既にあってそれに従って機械的に答えているかのような。
しかしそれは森次氏が『セブン』に対して思い入れがないのではなく、『セブン』という作品が余りにも名作として今まで語られすぎたがゆえに生じた事態なのかもしれない。「ノンマルトの使者」ならこういう解釈、「第四惑星の悪夢」ならこういう解釈、というのがもう完全に固定されてしまって、新しい解釈なんかもう出す余地がないみたいな雰囲気を、『セブン』という作品について感じるのである。
いや、別にそんなに難しく考えることはなく、単にインタビュアーの谷田俊太郎氏の技術が下手というだけのことかもしれない。インタビューというのは相手の本音を引き出すのが仕事であり、自分の意見をしゃべって相手に同意を求めたりするなど問題外。ちなみに脚本家の上原正三氏は『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」について聞かれて「あれはテーマ性がナマで出すぎて自分としては気に入っていない」なんてことをしゃべったりしている。そのことがかえって上原氏のウルトラシリーズに対する思い入れをファンに強く感じさせるのである。
インタビューというのはする方もされる方も「段位」というものがあるんじゃないだろうか。
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