『ゴーカイジャー』の視聴率を下げたのは誰か

 スーパー戦隊シリーズの第40作目の記念作となる『動物戦隊ジュウオウジャー』に関する情報も出回り始める季節になったが、案の定というか、歴代戦隊とつながったストーリーや、オリジナルキャストの出演を期待する声が上がり始めている。
 五年前にもそういうことをやって、視聴率を前年から0.5ポイントも下げたことを『海賊戦隊ゴーカイジャー』の関係者がどういうふうに総括しているのか、ちょっと聞いてみたいところではある。
 特に俳優。
 当時の雑誌記事を調べていると、宇都宮孝明プロデューサーによれば、当初はオリジナルキャストを出すにしても近年の作品だけで、昔の人など呼ぶ予定はなかったらしい。そしたら「俺も出せ」と逆オファーをしてくる俳優がわらわらと出てきて、その声に押されたのか、それとも別の理由があったのかはよく分からないが、とにかく予定を変更して戦隊OB・OG大量投入ということになった、そしてその結果が視聴率の大幅下落というわけである。
 もっともこんな結果は宇都宮P以下のスタッフにとっては最初から分かりきっていたことであった。戦隊シリーズのメイン視聴層は子供である。子供は昔の戦隊なんか知らないし興味もない。またそれに代わって高齢の視聴者の関心を引くようなトピックがあったわけでもなし。だいたい1970年代や80年代の戦隊シリーズをリアルタイムで視聴し、当時の作品に深い思い入れを持っているファンにしてみれば、今の戦隊なんかとても見るに耐える代物ではない。
 もっとも東映の上の方の人にとっては、『ゴーカイジャー』は成功作だそうだ。理由はレンジャーキーがバカ売れしたから。もう完全に30分の玩具CM扱いだ。だったらなおのこと、過去の作品のオリジナルキャストを出して後日譚みたいなことをやる意味がない。ゴーカイチェンジで十分だろう。
 東映の公式サイトを見ていると、当時としては古巣に対するうるわしい愛情のつもりだったのだろうが、今読むと善意の押し売り感が漂う。今はどう思っておられるのであろうなあ、西村和彦さん。

東映公式サイト・『海賊戦隊ゴーカイジャー』第30話「友の魂だけでも」

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