「デスガリアン」に期待できるか
「デスガリアン」という名前からして期待できそうにない。
-ian というのは人を表す接尾辞である。コメディアンは喜劇役者、ケインジアンはケインズ主義者、ブラジリアンはブラジル人、クリスチャンはキリスト教徒。組織につける名前ではない。つけるのなら何故「デスガリアンズ」にしなかったのか。まるでメンバーが一人だけの組織みたいだ。濁音とラ行音さえ入れておけば悪の組織っぽい語感になるというわけではないぞ。
前置きはこれくらいにして。
『動物戦隊ジュウオウジャー』の敵組織「デスガリアン」に関するバレ情報はすでに行き渡っているが、それを読んで最初に思ったことは「逃げたな」。
デスガリアンは、宇宙の星ぼしを破壊してきた悪の軍団。どれだけ生き物を苦しめて葬るのかを争う遊び「ブラッドゲーム」をくり返し、99コの星を滅ぼしてきた。100番目の遊び場として、地球をえらんだ。最近のスーパー戦隊に対する不満はいくらでもあるのだが、まるでスポーツかゲームの戦いのようにしか見えないというのがある。正義と邪の戦いには見えない。だったら最初から敵組織の目的がゲームだということにしよう、そうすれば「ゲームにしか見えない」という批判をかわすことができる、これはいい考えだ……って、そういう問題じゃないだろ。
いや確かに今みたいな時代にあっては、魅力のある悪役を描くというのが非情に困難であることは分かる。昔は正義のヒーローには正義のヒーローとしての理念と行動原理があり、悪には悪の理念と行動原理があり、その対比が物語の縦軸を作り視聴者を引きつけていた。今や正義も悪も明確な理念というものを持ちづらくなり、悪の組織は単に正義のヒーローの行動を妨害するだけの置物みたいな描き方をせざるをえない。ボーリングのピンのような。
だからといって最初から逃げてどうする。
思い出すのはボーゾックである。『激走戦隊カーレンジャー』に出てきた悪の組織である彼らは、客観的に見れば歴代戦隊の敵組織としては凶暴度ではかなり上位に来るはずだが、どうも視聴者としてはそんなイメージを持てない。理由として考えられるのは、彼らにとって星々を破壊するのは、遊びだったからである。理念も損得も関係ない。ただし『カーレンジャー』はもともとそういう作品であった。デスガリアンの行き先はどうなるだろうか。
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Comments
「シンケンジャー」の頃からそうですけど、宇都宮プロデューサーの戦隊・ライダーって最終的な敵の目的・理念が最後まで不明瞭なんですよね。それは今回もやっぱり同じなようで…だからもうこの時点で半分ほど見る気失せて実際見てません。
それよりも私は「協力 石森プロ」のほうが気になるんですが。何を協力するんでしょうか。
「協力 石森プロ」は、おそらくメインタイトル時に出る赤い戦士集合ロゴの中に居るアカレンジャーの映像に対してのものじゃないかと思います。
確かに。一秒にも満たない、ほんの一瞬の間だけ画面に出てますね。
そのためだけに「協力」とクレジットを打つというのも何というか。
デスガリアンには全く期待できる要素がありませんけど、ジュウオウジャーそのものにはひょっとしたら期待できるのではないかと、ゴリラのエピソードのところでやっと思えてきました。
どうもヒーロー側の背景に、見た目よりずっと重めのテーマが仕込まれていそうで。なおかつそれを、重たくしすぎず表現してきているのはなかなか上手い。
……その背景と、敵との間に有機的な関係性が全くなさそうだという点は、今なおとっても不安なのですが。
これからのデスガリアンに期待出来る事と言うと
人間界とジューマンランドを同時に攻撃しジュウオウジャーの分断を図る位でしょうね
幹部もそれぞれで分担すれば順番待ちの暇も無くなるし内容全体も緊迫感が増して面白くなりそう
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