特撮と『なぜ時代劇は滅びるのか』
9/19のエントリのコメント欄で勧められた本、結局読んでしまった。多くの特撮ファンが「対岸の火事ではない」という反応を示しているのもうなずける。特に『水戸黄門』に関する記述は衝撃的だ。
『水戸黄門』がまだ人気があった時にも、やはり批判はあった。あんなマンネリのワンパターンのどこが面白いのかと。それに対する反論は、「大いなるマンネリ」というものだった。マンネリの作品を作る事こそが実は本当に難しく、本当に素晴らしいことなのである、と。しかしそれは真実なのは半分だけで、残りの半分は嘘だった。大いなるマンネリという開き直りが、実は時代劇衰亡への道を着々と用意していたのである(これは私の解釈がかなり入った要約なので、詳しく知りたい人はこの本読んで下さい)。
そして特撮ヒーロー(特に戦隊)もまた、マンネリがあたかもプラスの価値を持つかのように語られることの多いジャンルである。「様式美」とか言い換えて。
これは確かに他人事ではない。
ところで、この本は業界の内部の人たちにはどのように読まれているのだろうか、と思って探したら、こんなのが出てきた(抜粋)。
切通理作 10月25日過去形かよ!
『水戸黄門』が途中から老人向けに特化した為に時代劇ジャンルの衰退を招いた事を春日太一さんは『なぜ時代劇は滅びるのか』で指摘していますが、SF特撮映画も子どもが喜ぶからといってそこに傾斜した時代がありました。
確かに特撮ライターなんてものは、「この作品をほめる文章を書きなさい」と編集者に言われたら、その通りの文章を書くだけの職業だから、大して期待もしていなかったが、それにしてもひどい。時代劇ではそれなりに志の高い人がこうやって本を出しているのに対して、特撮の方はなんという違いだろう。
『利家とまつ』以降の、大河ドラマが女に媚びだしてからおかしくなっていったという論に対しては、疑問がなくはない。それでも一応論拠を示した上での議論である。この本を読んでいる最中に、竹熊健太郎という人が、あまりにもレベルの低い議論をやってツイッターを炎上させているという情報が入ってきた。特撮の方はなんかもう色々終わっているな。
竹熊健太郎「女性が見る特撮は私にとって特撮ではない。特撮魂が曇る。」
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