嗚呼、懐かしき「イスラム国」
「後藤さん殺害」か:「イスラム国」の声明全文
久しぶりに本格的な「悪の組織」を見たなあ。
「我々はお前たちの血に飢えている」などという、「イスラム国」のベタベタな声明文を読んでいたら、そんなことを思ってしまった。
スーパー戦隊シリーズに出てくる悪の組織は、1980年代頃まではこんな感じだった。交渉とか妥協とかいうものが入る余地は一切なし。こっちが滅びるか、あっちが滅びるかの二者択一。もちろん彼らにも言い分はあるが(サイクス・ピコ協定がどうとか)、それとこれとは別問題。世の中にはそういう存在があるのだ、ということを我々は子供の頃にスーパー戦隊シリーズを見て学んだのである、悲しいことではあるが。
私が最近の戦隊シリーズを見ないのは、敵が全然怖くないからだ。なんか妙に人間臭くて親しみばっかり湧いてくる。ヒーローたちも正義のためとは言いながら、スポーツやゲームのような感覚で戦っているようにしか見えない。もっとも、そういうことを批判する気もなかった。昔は日本の近くに「ソ連」という国があって、核戦争の危機は、人類を絶滅させる可能性が本当にあった。それに比べれば今の中国や北朝鮮の脅威なんか屁みたいなもんである。冷戦が終わって人々が恐怖を味わわなくて済むようになり、その結果としてテレビ番組から悪の迫力が失われたとしても、そんなことで文句を言ってはバチが当たる……。
と思っていたら、実は違っていたのである。世の中は全然平和になんかなっていなかった。単に日本人が無関心だっただけで、中東じゃあ延々ずっと殺し合いをやっていた。今回の事件も犠牲者がたまたま日本人だったからマスコミも騒いだし人々も関心を持ったに過ぎない。
この事件をきっかけにして、日本人の意識も変わるのだろうか。いや変わらんだろうな。ニュースを見てたら、安倍首相は例によって原稿棒読みの抑揚のない声で「罪を償わせる」などと言っていた。この人はやたら口だけは勇ましいことを言うが、別に日本も戦いに加わろうと声を張り上げるわけでもなくて、やっぱり他の国に金をばらまいて何とかしてもらおうということらしい。改憲派の脳内お花畑度は護憲派を上回っている。そして圧倒的多数を占める無関心派。クソコラ祭りと自己責任論の横行は海外でも報道されて、「日本人は薄情」「冷酷」「不気味」というイメージが世界中で急速に拡散中だとか。
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