「戦隊初の女性監督」という記事を批判する(前編)
『福島民友』2015年8月21日の「回想の戦後70年 漫画・特撮編(5) ヒロイン最前線へ 戦隊史上初の女性監督」(ウェブ版は図表省略)という記事がひどい。今までも女性の社会進出と戦隊ヒロインとを安直に結びつけるような論考は何度も読んだことがあるが、これほどひどい記事は読んだことがない。
日本における管理職に占める女性の割合は何%で、女性国会議員の比率は何%で、これは先進国中最下位であって、これを引き上げる目標を政府が掲げたなどというニュースを、我々はテレビや新聞でよく目や耳にする。これはフェミニズムに基づいた政策であると思い込んでいる人も多いであろう。とんでもないことだ。これほど反フェミニズム的な主張もないのである。もっとも、当のフェミニストでそういう勘違いをしている人も多いし、そしてそういう人が大学で偉い職に就いて、マスコミで派手に露出活動をしていたりするから、一般大衆が誤解するのも無理もないのだが。
だいたい先進国中最下位だからダメ、という考えは、西欧文明こそが世界で最も優れたものであり、日本も西欧みたいになってこそ国際社会で認められるのだという植民地根性そのものである。
フェミニズムは救済思想ではない。現在の男中心社会では、女性は不利な立場に置かれている、というそこまではよい。だからそこから解放されるために、女性はどのような生き方をすればいいかを教えてあげます――ってふざけんな! それは単に奴隷主から解放された奴隷が、新たな奴隷主を求めているのと同じだぞ。
揺籃期のスーパー戦隊シリーズのヒロインたちの誰も彼も魅力的なのは、自分はどのような戦い方をしたらいいのか、教えてくれる人など誰もいなかったからだ。自分の進むべき道を指し示すことができるのは自分だけだったからだ。そしてシリーズが安定して続き、戦隊ヒロインの模範像が確立されるや急激に魅力を減らしていく。
この『福島民友』の記事では、戦隊シリーズ38作品における女性の比率は26.8%であって、安倍政権の掲げる女性管理職比率30%という目標値に肉薄していてヨロシイという。自民党がそんな政策を掲げるのは、女性を労働力として組み込むことによって現行の体制を強化するためだ。こんな記事を書いたのはどこのどいつだと思ったら、また鈴木美潮氏が噛んでいるのか。って『福島民友』、読売の子会社なのかい。(続く)
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