ピンクはなぜ使われない

ピンク色の国旗
カナダ・ニューファウンドランド島の非公式三色旗とブラジル・エスピリトサント州の州旗

 「スーパー戦隊の色彩学」を書くためにいろいろ調べていくうちに驚いたのは、桃色というが意外に主要な色であるということ。原色の六色(白・黒・赤・青・黄・緑)に次いで主要な五色というのがあって、それが橙(赤と黄の中間色)・紫(赤と青)・灰(白と黒)・茶(赤と黄と黒)、そして桃(赤と青と白)。それでいて、なんでこんなに使われない色なんだろうか。
 たとえば赤は共産主義の色だし、緑はイスラムの色である。だからといって赤い服を着ているだけで共産主義者なわけではないし、好きな色は緑色ですなどと言っただけでイスラム教徒と勘違いされることもない。しかし男がピンクの小物を身につけていると変人扱いされる。ピンク=女というイメージの強さはいささか異常な感じがする。
 国旗に使われない。これは分かる。桃色は見る人をやさしく穏やかな気分にさせる。こんな色を国旗に使ったのでは、愛国心を高揚させることができない。地域の旗も、上記の二つくらいではないだろうか。政治運動で桃色をシンボルカラーにしているのもLGBT以外に思いつかない。フェミニズムがピンクなんか使うわけないし。千葉ロッテマリーンズのユニフォームは「戦う者の集団にふさわしくない」という理由で三年で変更になったが、黒と桃の組み合わせは、決して弱々しい印象はなかった。Jリーグではセレッソ大阪が使っていて何も問題はなし。
 現代の社会においては、自分さえ目立てばよいと誰もが考えている。桃色のような、自分が目立とうとしない色は使いでがないのだ、そんなのは女の役目だ、という考えに基づいている――などと言えば男社会を告発するフェミニストみたいだ。しかしそれだと女の色は白になりそうなものだが。桃色は、自分を殺して他人を目立たせるのではなく、自分も目立ち他人をも目立たせる色なんだし。
 競馬や競輪では、8番が桃色である。天候や時刻に左右されない、視認性に優れた色を選んだ結果として順当に選ばれたのだが、初心者からは「なんでピンクなんか使ってんの?」という感想が来るらしい。
 不可解さという点では筆頭に来るのが電子部品のカラーコード。0黒・1茶・2赤・3橙・4黄・5緑・6青・7紫・8灰・9白・-1金・-2銀。なんでそこまで桃を避けるのかなあ。
 とにかく謎が多い。

 そういえばプリキュアとかでも、赤だから自己主張が強い性格とか、そういうキャラ付けしてるんだろうか。見てないから知らないんだけど。

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